外食業界で働く外国人材の皆さん、そして企業の採用担当者の方々、
特定技能制度の次のステップについて悩んでいませんか?
特定技能1号から2号への移行は、在留期間の無制限更新や家族帯同など大きなメリットがあります。
しかし、外食分野での2号への移行はまだ情報が少なく、移行条件や試験内容がよくわからない、と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、外食業界における特定技能2号の取得条件から、キャリアアッププラン、試験概要~申請方法まで徹底解説します。長期的な人材確保に悩む企業担当者様、キャリアアップを目指す外国人材の方々に必見の情報をお届けします。
特定技能2号への関心の高まり
2019年4月より始まった特定技能制度は今年7年目を迎えますが、まだ特定技能2号取得者は少ない状況です。(全分野で1,047人、外食業134人-2025年1月現在)
出典:外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組 | 出入国在留管理庁
ただし、特定技能在留外国人数の推移をみると、2020年後半から在留数が全分野で1万人を超えるようになっており、特定技能の在留期間5年を経過する2025年の後半からは2号への移行を希望する方が今までと比べるとかなり増えてくることが想定されます。なので、外国人本人の方も採用する側の企業担当者も移行へのプロセスや要件についての関心がどの分野でも高まってきています。
特定技能2号とは?1号との違い
特定技能2号について
特定技能2号は、人手不足が深刻な分野で就労が認められている「特定技能」ビザの中でも、特定1号が「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向け」であるのに対し、特定技能2号は「熟練した技能を有する外国人向け」の在留資格です。
特定技能1号と2号の違い
特定技能1号と2号の主な違いは次の表のとおりです。
◆支援義務
…特定技能1号は一号特定技能外国人支援計画に基づく支援が必要ですが、2号は不要です。ただし任意で登録支援機関等に支援委託をすることは可能です。
◆在留資格取得方法
…特定技能1号には技能実習2号修了者のルートがありますが、特定技能2号は基本試験と実務経験が求められます。
◆転職
…特定技能2号も1号と同様、転職=所属機関が変更になる場合は在留資格変更許可申請が必要です。
◆協議会
…特定技能1号・2号ともに協議会への入会が義務となります。
特定技能2号外食とは?どんな要件があるの?
特定技能2号外食とは?
特定技能外食分野では、2023年8月から解禁されました。具体的には食品衛生法の営業許可を受けた飲食店において、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)としての実務経験(ただし、当該経験を終えてから、別途農林水産大臣が定める期間を経過していない者に限る。)を要件としています。
特定技能2号外食の要件
特定技能2号の要件は、「技能水準」(=試験)と実務経験が求められますが、特定技能2号外食については、「技能水準」に「日本語能力試験(N3)以上もプラスで求められます。
外食分野の実務経験要件=指導等実務経験要件とは?
特定技能2号外食の指導等実務経験の要件については、運用要領に詳しく定められています。
特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 –外食業分野の基準について–より抜粋
「複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督」とは、2名以上のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督することを指し、指導・監督を受ける者の国籍、在留資格、職責等は問いません。また職場の状況やシフトの都合等により、常時2名以上いる体制でなくとも差し支えありません。
この場合の「店舗管理を補助する者」とは、店長や事業所責任者が行う店舗管理(衛生管理全般、求人・雇用に関する事務、顧客情報の管理、会計事務管理、食材・消耗品・備品の補充・発注・数量管理等)の業務を補助するものとし、例えば、副店長、サブマネージャー、サブリーダー、サブチーフ、班長、担当部門長、事業所副責任者等のような役職が想定されますが、店長、事業所責任者などとして、店舗管理に従事することも含みます。
●2年間の実務経験については、当該経験を終えてから、基本的に5年を想定していますが、10年を超えないものに限ります。
●外食業特定技能2号技能測定試験受験の際に、上記実務経験の有無を確認します。
●外食業分野の指導等実務経験の経過措置に係る必要実務経験期間については、以下の算出方法により計算してください。
例)改正の日時点で外食業分野の1号特定技能外国人としての在留期間(再入国期間を含む)が
「3年と20日」となり、運用要領改正の翌日から特定技能1号の在留期間の上限の日までの残日数が、
「1年11か月と10日(23か月と10日)」の場合、実務経験は、そこから6か月を減じた「1年5か月と10日(17か月と10日)以上」必要です。
◆指導・管理などの実務経験の具体例
日本国内の飲食店において、2年間にわたり複数の従業員の指導・監督業務経験と店舗運営の補助業務の経験が必要です。その経験の証明として、サブリーダーや副店長の肩書きを付与した辞令書や職務命令書、シフト表を提出します。実務経験の具体例は上のマーカー部分に記載されています。
注意したい点は、技能実習や家族滞在、留学の在留資格のときの業務経験は要件に該当しないことです。また、外国人の母国での経験も含まれません。
◆外食業特定技能2号技能測定試験受験の際に実務経験の有無を確認
試験の概要で口述しますが、実務経験の有無を証明する書類が必要になります。
◆経過措置について
外食業には、実務経験について経過措置があります。制度開始時ではなく2023年6月に外食業が後から特定技能2号の対象分野に追加されたことを受けての措置です。
2023年6月10日時点で特定技能1号としての在留期間上限の日が「2年6カ月未満」だった場合、そこから6カ月を減じた分だけ管理・指導等の実務経験があれば、実務経験を満たしたことになります。つまり、経過措置の対象である場合、2年に満たない場合でも実務経験の必要条件を満たしていることとできる可能性があります。

「キャリアアッププランの作成、交付、説明」の義務化
について
2024年の入管法令告示で改正となり、特定技能外食分野では「キャリアアッププランの作成、交付、説明」が義務化されました。キャリアアッププランを雇用時にきちんと提示することで、入社時から特定技能2号移行へのキャリアアップを意識づけ、モチベーションアップに活用できます。
キャリアアッププランの説明及び交付のタイミング
申請前に雇用契約をすることが多いことから、キャリアアッププランを事前に策定し、雇用契約締結前に、その説明及び交付が必要です。つまり、特定技能外国人の支援として最初に行う「事前ガイダンス」の前に行うことになります。
キャリアアッププランの要素
任意様式とされていますが、以下のような内容が運営要領で例示されています。
- 【キャリアアッププランの内容の例】
・想定されるキャリアルート
・各レベルの業務内容及び習熟の目安となる年数
・レベルアップするときに必要な経験・実績、資格・検定など
Stepjobはキャリアアッププランの策定もサポートします!
キャリアアッププランは所属企業が策定・提示するものになりますが、Stepjobでは外食業の企業様にキャリアアッププランの策定についてもアドバイスさせていただきます。特に重要となる「実務経験2年」の期間について、特定技能2号試験受験目標から逆算していつから取り組むべきか一目でわかるスケジュールも添えてご提示しています。
ご興味ある方はぜひご相談ください。
特定技能2号外食の取得手続きの流れ
特定技能2号の取得手順は以下の①~④の流れが基本です。
①特定技能1号外国人にサブリーダーや副店長などの役割を任せ、複数のアルバイトや特定技能外国人の指導・監督や店舗管理の補助を原則2年間経験させる
②JLPTのN3以上を受験、合格する ※JLPTが外食業特定技能2号技能測定試験の受験後という場合もあります。
③ ①の実務経験2年を満たしたタイミングで、外食業特定技能2号技能測定試験を受験、合格する(この際に①の経験・肩書を証明するものが必要)
④在留資格変更許可申請書などの2号の申請に必要な各種書類を用意し、最寄りの地方出入国在留管理局・支局(空港支局を除く)に提出する
外食業特定技能2号技能測定試験について
特定技能2号技能測定試験は、特定技能1号から移行する際に必要となる試験です。詳しく解説します。
試験の概要
日本における外食分野における知識や技能を試す試験です。
特定技能2号技能測定試験は、現状5月・7月・10月の年3回開催されます。年の実施回数が限られていますので、要件の1つとなる実務経験2年の実施期間をよく確認する必要があります。
合格基準は満点(250点)の65%以上です。学習テキストもあり、「一般社団法人日本フードサービス協会」のサイトから取得することができます。
外食業技能測定試験学習用テキスト|一般社団法人日本フードサービス協会
また、Stepjobでは2号対策のオンラインプログラムも提供しています。
受験資格
- 受験資格は次の通りです。
1.試験当日に在留資格を有していること
2.試験日に満17歳以上であること
3.法務大臣が指定する外国機関発行の有効なパスポートを所持していること
4.外食業で、2年以上の指導実務経験がある、または試験日から6ヶ月以内に2年以上の指導実務経験を満たす見込みがあること - <受験申し込みの流れ>
現状、試験申込は、当面、2号特定技能外国人を雇用しようとする企業(外食業を営む企業に限る)からしか申込できません。外国人本人からの申込はできません。
試験申込の手順
試験申込から受験までの流れは、下記のとおりです。
OTAFF企業用マイページ/操作マニュアル
<STEP1>企業マイページの仮登録、本登録
1. 仮登録は、下記の「企業用マイページ 仮登録フォーム」から行います。
OTAFF企業用マイページ/仮登録フォーム
2.本登録は、下記の「企業用マイページ」から行います。
<STEP2>受験者登録
「企業マイページ」から受験者登録を行います。
※特定技能2号試験の受験者登録には、「指導等実務経験証明書」または「指導等実務経験に係る誓約書」の 提出が必須です。
OTAFF/指導等実務経験証明書・誓約書様式
<STEP4>試験申込み
「企業用マイページ」内の試験申込・受験状況タブから申込をします。
<STEP5>受験者同意と受験料の支払
受験者が受験申請企業からの受験申請により受験することに同意し、受験料を支払います。
<STEP6>受験票のダウンロード
受験者の受験票は企業マイページにアップされるので、企業担当者が受験票をダウンロードして、企業から受験者に渡します。
試験の実施状況
直近2024年10月の国内試験の実施状況では、受験者数612名に対し合格者369名、合格率は60.3%でした。これは他の分野の特定技能2号技能測定試験の合格率が概ね30%程度と比べると高い合格率になっています。
出典:2024 年度 外食業特定技能 1・2 号技能測定試験 第 2 回国内試験 | OTAFF

特定技能2号外食の在留資格変更申請手続き
申請に必要な書類を揃えて、基本的には本人が入管で手続きをします。
申請に必要な書類
外食業の特定技能2号の申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 【特定技能2号申請 必要書類】
・在留資格変更許可申請書をはじめとした「(1)申請人に関する必要書類」(全分野共通)、「(2)所属機関に関する必要書類」(全分野共通)※
・外食業特定技能2号技能測定試験の合格証明書の写し
・JLPT(N3以上)の合格証明書の写し
・保健所長の営業許可証又は届出書の写し
・外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(特定技能所属機関によるもの)協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
※「(1)申請人に関する必要書類」と「(2)所属機関に関する必要書類」に関しては、以下のページを参考にしてください。
特定技能2号外国人を雇用するメリット
企業が特定技能2号外国人を雇用するメリットは、
①「店舗管理・従業員の指導ができる人材を確保できる」こと、
②「特定技能2号になりたい外国人材を探しやすくなる」こと、の2点が挙げられます。
① 従業員の指導や店舗管理ができる人材の確保
ひとつめのメリットは、店舗管理や従業員の指導ができる人材を確保できることです。特定技能2号外国人は、在留資格の更新に上限がありません。そのため、長期間にわたって店舗で従業員の指導や店舗管理の補助を行うことができます。これは、受け入れ企業で重要な戦力になり得ると言えます。
② 特定技能2号になりたい人材を探しやすくなる
ふたつめのメリットに、特定技能2号になりたい意欲ある外国人材を採用しやすくなる点があります。特定技能2号という在留資格は、永住権取得も狙える在留資格であるため、外国人にとって魅力的です。
特定技能1号の採用において「当社では特定技能2号を取得できる・サポートする」という情報を伝えることは、外国人への大きなアピールポイントとなります。またすでに特定技能2号外国人を雇用している場合も同様でしょう。日本で長く働ける環境が整っている、キャリアアッププランをしっかり提示することで企業だと示せるからです。優秀な外国人ほを採用するには、このようなアピールも上手に利用しながら採用活動を行うことをお勧めします。
まとめ
外食業特定技能2号について、取得要件やキャリアアッププラン、試験概要~申請方法まで詳しく解説しました。多くの特定技能外国人は、特定技能2号を取得したいと考えています。在留期限ギリギリになってから慌てないよう、特定技能1号で採用したときから「指導・管理などの実務経験」を積むための計画をたてておくことをおすすめします。
また、今後も外国人から選ばれる企業になるためには、特定技能2号の外国人雇用をすることが重要です。特定技能2号を目指す外国人が多いことから、多くの外国人は2号を視野にいれながら特定技能1号で働くはずです。企業が1号外国人しか雇用しないと決めている企業より、2号の取得を支援してくれる企業のほうが選ばれやすくなっていくことは想像に難くありません。
より優秀な人材を集めるためにも、特定技能2号外国人の雇用が必要になってくるでしょう。
Stepjobとは?
Stepjobは、外国人人材紹介のほか外国人の生活周りにおける支援業務も行っております。
引っ越しサポートや、定期面談など入職後にも手厚くサポートしております。
内定が決まった求職者に対して、日本の生活編・仕事編についてStepjobから研修動画を提供します。
外国人の定着率は「95% 」(※内定後6ヶ月)なので、外国人採用に不安を感じている方や、
外国人を採用しても定着率が低いとお悩みの方は、ぜひご相談ください。
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